新卒・新入社員研修では何をするべき?よくある課題や育成のポイントを解説
新卒向けの研修は、教える側と世代差があり「イマドキの新入社員は、何を考えているのかわからない」と悩んだり、「自分たちのときは、もっとこうだったのに」と不満を感じたりしている教育担当者・人事担当者もいらっしゃることでしょう。
加えて、新卒入社した社員が3年以内に離職する割合は、過去20年ほど、3割前後で推移しており、多くの企業で課題のひとつになっています。このため「強く言いすぎて辞めたら困る」「急に出社しなくなったらどうしよう……」など教える側も不安があり、新卒研修を難しくしています。
そこで当記事では、イマドキ新卒の特徴を紹介した後に、育てるのが上手い人がどのようなことをやっているのか、心構えとして大切なこと、よくある課題と解決法を解説しました。
新卒研修とは?
新卒研修とは、新卒採用の新入社員に対して、業務を遂行するうえで必要な心構えや知識などを指導する目的で行う研修のことです。初めて社会人として働く方がほとんどなので、研修内容は、社会人としての基礎から教えます。
具体的には、以下のような内容から構成されることが多いです。
- マインド面の研修:社会人としての自覚を促す
- ビジネスマナー:身だしなみや挨拶、名刺交換の方法、言葉遣い、電話対応の流れなど
- 企業の理念や価値観:自社理解を促すことで、自分の役割を認識し、意欲を高め、目標設定へつなげる
- パソコンスキル
- 職種別に業務に必要な内容
新卒研修は、入社後すぐに行われることが多く、実施期間は企業によってさまざまで、数日程度の企業もあれば、数カ月から半年程度かけて行う企業もあります。
やり方も企業により違いますが、小売業やアパレル業などの店舗運営事業者の新卒研修は、「集合研修(OFF-JT)」「店舗での研修(OJT)」「オンライン研修」の3つが主です。
集合研修は、講義形式で講師の話を聞くほか、グループワークやロールプレイングなど、さまざまな手法を取り入れ実施されています。また新型コロナウイルス感染症の拡大により、近年はオンライン研修を導入する企業も増えました。
研修は自社で行う以外に、特に中小企業の場合は、教える側の社員に余力がないことも多く、ビジネスマナーなど一般的な内容については、外部研修を活用しているケースも少なくありません。
ちなみに、新卒研修と似た言葉に「新入社員研修」というのがあります。新入社員研修の場合は、新卒入社の社員だけでなく中途採用の社員も含みます。
イマドキ新卒の弱み
研修を行う際に欠かせないのが参加者の分析です。
近年入社してくる社員は、1990年代後半以降に生まれた方々。この1990年代後半から2012年頃までに生まれた世代のことを「Z世代」と呼びます。インターネットやSNSが身近な環境で育った世代です。「デジタルネイティブ」「ソーシャルネイティブ」とも呼ばれ、これまでの世代とは異なる価値観や思考を持っています。
つまり、教育担当者の価値観頼りの教育や、以前の教育方法では通用しないことが多々あるのです。まずは、日本能率協会マネジメントセンターが2020~2021年に入社した新入社員1,020名および新入社員の育成に関わる上司・先輩社員1,048名に行った調査「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」などをもとにイマドキ新卒の弱みから解説します。
弱み1:失敗をしたくないという意識が強い
「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」によると、Z世代は他の世代と比較して「失敗したくない」という意識が強いという結果が出ています。また「失敗したくないので、責任ある大きな仕事は任されたくない」が56.7%と半数を超えています。
(参照元:「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」を基に弊社で作成)
Z世代は、インターネットを介して自分の欲しい情報が手に入れられることを知っています。分からないことがあれば自分で調べるのが当たり前という価値観を持っている世代とも言え、失敗しないように行動する習慣がついているのです。だから失敗経験が少なく、失敗を強く恐れる傾向があります。
このため職場の心理的安全性が低いと、間違うことが不安で自分の意見を言えなかったり、新たな挑戦に消極的だったり、怒られることが怖くて失敗を報告できなかったりといったことが起きやすく、こうした部分はZ世代の弱みになりやすいでしょう。
弱み2:他人からの評価に敏感
「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」によると、Z世代は「他人からの評価が気になる」という回答が圧倒的に高い結果が出ています。
(参照元:「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」を基に弊社で作成)
Z世代は、発信型のSNS(Twitter、Instagram、TikTok)を複数利用し、知り合いだけでなく世界中の人から「イイネ」をもらえるのが当たり前の状況で過ごしています。このため「自分の考えや行動を受け入れてもらいたい」「面白いと思ったことに共感してもらいたい」などといった自己承認欲求が非常に強く、他人からの評価を強く意識して生きてきている世代だと言えるでしょう。
このため他人からの評価を気にしすぎるために保守的になったり、指摘されると必要以上に落ち込んだりといった面が仕事では弱みになります。
弱み3:経験よりも知識や理論が先行する
前述した通りZ世代は、インターネットを使って何でも調べるなど、デジタルデバイスに頼る傾向が強いです。「勉強不足」「調査不足」だと思われるのを嫌うため、安易に先輩に質問することもなく、一見すると豊富な知識を持っているようにも見えます。
そして近年は学校でPowerPointなどを使いプレゼンテーションする機会も増えていますので、理論的に話すのも得意な方が多いです。
こうした傾向があるため、非常に優秀で多くのことを知っているかのように感じることもありますが、あくまでも表面的な知識に過ぎないことが多く、誰かの受け売りが入っているケースもあります。研修を実施する際は、Z世代の特徴として、経験よりも知識や理論が先行しがちな点は知っておいたほうがいいでしょう。
イマドキ新卒の強み
次にイマドキ新卒の強みについて解説します。
強み1:デジタルに強い
イマドキ新卒の最大の特徴は、何と言っても「デジタルに強い」こと。スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスを中高生のうちから持ち、インターネットが日常生活の一部となっています。複数のSNSを使いこなす人が多いのも特徴です。
Webサービスやアプリを用途に応じて選び、新しいものでも抵抗なく取り入れられる強さもあります。
企業におけるDXが必須の状況となっている現在、デジタルに抵抗感がなく、オンラインとオフラインのコミュニケーションをうまく行えるのは、イマドキ新卒の強みと言えるでしょう。
強み2:多様性を柔軟に受け入れられる
近年、多くの企業で進められているのが「ダイバーシティ(多様性)」への取り組みです。人材確保の観点から必要不可欠な取り組みであるだけでなく、グローバル化による競争の激化、消費ニーズや価値観の多様化などもありイノベーションを生み出すために多様な人材が求められている現状があります。
一方で、日本企業は同質性の高さを武器にこれまでビジネスを進めてきた側面もあり、ダイバーシティ推進への方向転換は容易ではなく、順調に進んでいる企業ばかりではありません。
こうした中で、Z世代は若い頃からSNSを活用し、世界各国の文化や価値観に触れてきました。そのため、他者を受け入れる姿勢が身についており、ビッグローブ株式会社が2022年に行った「Z世代意識調査」によると、「多様性は大切だと思う」人が8割という結果が出ています。
こうした価値観を持つ人材が増えることで、ダイバーシティ経営への取り組みを加速しやすくなります。
強み3:心理的安全性が担保されているとパフォーマンスを発揮できる
イマドキ新卒の強み3つ目は、「心理的安全性が担保されていれば高いパフォーマンスを発揮できる点」です。
Z世代は、上の世代に頼らず自分で稼ぐこと、将来困らないよう対策を行うことを重視している、自立心の高い世代です。総じて真面目で、デジタルに精通しており、情報収集が得意で失敗を嫌うことから正確に作業しようとします。自己解決能力も高いです。
ただしイマドキ新卒の弱みの項目でお伝えした通り、「失敗をしたくないという意識が強い」「他人からの評価に敏感」という側面もありますので、心理的安全性が高い環境を用意できるかが、パフォーマンスを発揮できるかどうかのカギを握ります。
Z世代の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてお読みください。
■参考記事はこちら
Z世代とは何歳から?特徴やこれまでの世代との違い、効果的な研修方法についてわかりやすく解説!
新卒研修でよくある課題と解決策
少子高齢化や人口減少により採用難が続く中、採用できた貴重な新卒入社の社員たち。貴重な人材なだけに大切に育てたいとお考えの人事担当者がほとんどだと思います。一方で、テレワークが広がり、コミュニケーションの量が減少し、人材育成に課題を感じている方もいるでしょう。
ここでは、新卒研修でのよくある課題と解決策をご紹介します。
知識が定着せず、すぐに忘れてしまう
講義型の新卒研修で課題となりやすいのが、「知識が定着せず、すぐに忘れてしまう」という点です。例えば、ビジネスマナーやコンプライアンスといった内容は、新卒研修の定番であり、社会人として知っておくべき基本的な知識で、多くの場合は聞けば理解できるものばかりですね。名刺の渡し方、お辞儀の仕方などは、講師をお手本に実際にやってみることも多いです。
このため研修の場では理解し行動できる人がほとんど。でも人間は忘れてしまうもの……。お客様とやり取りする機会がなく長く研修が続けば、基本的なビジネスマナーであっても忘れてしまうのが普通なのです。
解決策
知識の定着に欠かせないのは繰り返しやってみること。とはいえ、限られた研修期間に同じことを何度もやる余裕がないのも現状です。なので、忘れても思い出せるよう、そして分からなくなったら質問できるような環境を整えるのがいいでしょう。
いつでも見られる形でマニュアル化しておけば、各自で確認できます。また先輩社員と新入社員が定期的に面談を行うメンター制度を導入するなどして質問や相談ができる場を用意するのも有効です。
人事・教育担当のリソース不足
現在は人材不足ということもあり、研修にかけられる人事・教育担当のリソース不足が、新卒研修に限らず課題になっている企業が多いです。指導力のある人材はいるものの、その人のリソースが空いていないケースもあれば、指導できる人材そのものが不足しているケースもあります。
また業績が悪くなると教育研修にかけられる費用が削られがちです。そうすると、指導できる人材を育てる余裕もなくなり、悪循環にはまってしまいます。
解決策
新卒研修はビジネスマナーなど、一般的な内容も多いので、そういった部分では外部研修を利用するのもひとつです。新入社員にとっては他社の社員とのつながりもでき、モチベーションの向上につながることもあります。
他には、毎年更新されるような内容でなければ、eラーニング用のコンテンツを作成し、毎年利用できるようにするのもいいでしょう。参加者は何度も見ることができるなど、集合型の研修にはないメリットもあります。
最近のeラーニングは、内容にバリエーションを持たせることが可能になりました。動画での講義のほか、クイズ形式にしたり、テストを設けたり、動画を活用することでロールプレイングを実施できたりします。また講師側からすると、参加者の進捗や理解度の管理が可能に。内容によって研修方法を使い分けることで、人事・教育担当のリソースを本当に必要な場面に集中できるようになるでしょう。
効果測定ができていない
業績が悪くなると教育研修にかけられる費用が削られる理由のひとつに「研修の効果測定ができていない」というのがあります。会社から予算をもらうために必要なのは、参加者が満足したかどうかではなく、研修を行った結果、どのような効果が出るのかですね。これを論理的に説明できていない企業が多いのです。
解決策
研修の効果測定について、よく知られているのが「カークパトリックの4段階評価法」です。
- レベル1「反応」:研修に対する参加者の満足度を測る
- レベル2「習得」:研修で学んだことの習熟度を測る
- レベル3「行動」:研修で学んだことの職場での実践度を測る
- レベル4「成果」:研修の結果、ビジネスにもたらした成果を測る
レベル1と2は、結果が良くても研修が成功したということにはなりませんが、研修の継続的な質の改善に役立ちます。
効果測定として大事になってくるのは、レベル3とレベル4です。具体的な手法は、書籍「研修デザインハンドブック(中村文子、ボブ・パイク・著)」などを参考にするといいでしょう。
育てるのが上手い人は何をしているのか?
皆さんもこれまでに研修に参加して良かったと思うものもあれば、そうではないものもあったことと思います。眠くなるような研修は論外ですが、たとえ研修中は楽しいと思っても、後から内容を思い出せないものもあるかもしれません。
研修の参加者が集中力を保ち、学んだことを記憶に定着させ、主体的に学びに関わり続けてもらうために大事なのは、この点をしっかりと事前に「デザイン」しているかがポイントになります。
ここでは、書籍「研修デザインハンドブック(中村文子、ボブ・パイク・著)」を参考に、人材育成が上手い人がやっているポイントを解説します。
参加者の分析
研修を行ううえで欠かせないのが参加者分析です。
Z世代は、デジタルに強く、多様性を柔軟に受け入れられる良さを持っている一方で、失敗をしたくないという意識が強く、他人からの評価に敏感です。心理的安全性が担保されているとパフォーマンスを発揮できるという特徴もあります。こうした特徴を知っていると、参加者のモチベーションをあげるために必要なことなどが見えてきますね。
こうした世代的な特徴だけでなく、次の「知識」「興味」「言語」の3つの観点からの分析も必要です。
【知識】
参加者の現状の知識がどの程度なのか把握して、研修の成果をどのレベルにするか見極めます。例えば、新卒入社といっても、全員が長期のインターンシップなどを経験していれば、ゼロベースでビジネスマナーを教える形ではなく、持っている知識を引き出しながら研修を行うのもいいかもしれません。
【興味】
参加者がどの程度研修に興味を持っているかを把握します。仕方なく参加しているのか、研修の内容よりも同期入社の社員と話をするのを楽しみに参加しているのか、研修に真摯に向き合いスキルを高めたいと考えて参加しているのかで、研修をどう組み立てるかが変わってきます。
【言語】
専門用語をどの程度知っているか。参加者が知っている専門用語は、研修で説明なしに使えますが、知らない用語は他の言葉に言い換えたり、用語の意味を説明したりする必要があります。ここを把握できないと、参加者にくどいと思われたり、意味が分からないと思われたり、研修の理解に大きく差がでます。
研修の成果から目的を設定する
研修で得てほしい成果から遡って目的を設定することが重要です。「ビジネスマナーを学びましょう」といった漠然とした目的ではなく、次の4つの領域で目的を設定しましょう。
【認知領域】
知識として何を習得してもらうか設定します。どのレベルまで学び、どう活用するかを見据えた目的の設定を行うことが大事です。
【感情領域】
学んだことを長期記憶に定着させ、行動を変えようという感情をもってもらうために、研修中に参加者にどんな感情をもってほしいか、研修後に実践する際にどんな感情をもってほしいかを目的として設定します。
【行動領域】
学んだ知識を使って何かを実践したり、習得したスキルを実践したり、行動変容を起こすことで、成果を出すのが研修のゴールです。行動領域では、どんなスキルをどのレベルまで習得してもらうか、またどのような行動変容を起こしてほしいかを考えます。
【対人関係領域】
どのような相手や状況に対して、どのような行動がとれるようになってもらいたいかを考えます。
参加者が主体的になり安心して学べる場を作る
イマドキ新卒が力を発揮するためには、心理的安全性が担保されていることが大事だと前述しました。つまり講師も含めて、参加者同士がさまざまなことを率直に話ができるような人間関係が構築された状態だと安心して学べます。
そのためには、参加者が自分が重要な存在だと感じられ、「その場にいたい」と思い、権限や責任のバランスがとれている状態をつくる必要があります。このときにポイントになるのが「選択権・決定権」と「全員の巻き込み」です。
研修中も研修後も、参加者が主体性をもって行動できるようにするためには、自分の学習プロセスについて選択権や決定権を持っている必要があります。講師は「●●しましょう」「この通りにやってみてください」と指示を出すのではなく、参加者ができることは参加者に任せることが大事です。
参加者が自分が重要な存在だと感じられるためには、一部の人だけが積極的になるのではなく、参加者全員が平等に学びのプロセスに関われる状態を保つ必要があります。具体的には、発言の機会を平等にする工夫とメンバーを固定しない工夫(リーダーを固定せずに常に交代させるなど)が有効でしょう。
研修後のフォローアップ・効果測定までを研修だと考える
研修はイベントではなく、プロセスですよね。参加者が習得した知識を、研修後に実践し、成果を出すために、どのようなサポートが必要なのか、研修の準備段階で考えておくことが、良い研修へとつながります。
ポイントになるのは「継続的な学習と成長を支援する」「研修での学びを実践してもらうための工夫」「研修の評価・効果測定」の3つです。事前にしっかりと計画を立て研修を実施したいですね。
新卒研修の担当者が持つべき心構え
新卒研修の担当者は、指導に当たってどのような心構えをもっていくと良いでしょうか。ポイントを解説します。
心理的安全性が高い状態を作る
他人からの評価に敏感で、失敗することに大きな抵抗感を持つ新卒社員ですから、研修でも心理的安全性の担保は必須です。「心理的安全性」という概念を提唱したハーバード・ビジネススクールの教授であるエイミー・C・エドモンドソン氏は、心理的安全性を低下させるのは次の4つの不安だと言います。
- 無知だと思われる不安
- 無能だと思われる不安
- 邪魔だと思われる不安
- ネガティブだと思われる不安
例えば、質問されたときに「そんなことを知らないのか」「そのくらい自分で考えろ」と言ったり、提案を頭ごなしに否定したりすると、心理的安全性が低下します。
心理的安全性を高めるためには、失敗やミスをすることを認め、結果だけを見るのではなく、「行動したこと(過程)」を認めることを心掛けるといいでしょう。
心理的安全性について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてお読みください。
■参考記事はこちら
心理的安全性とは?高い=ぬるま湯ではない!低下に繋がる4つの要素や高い職場の作り方について解説
積極的に質問を行い、自分で考えさせる
参加者が主体的になり研修に参加してもらうために、実際の業務に従事したときに自ら動ける人材を育成するために、「自分で考えさせる」ことが大事です。
講師が一方的に話をするのではなく、質問をする機会を増やすと、自然と発言する機会が増え、自分で考えるようになります。YES or NOで答えられる質問を用意して、どちらだと思うか手を挙げてもらう形から始め、意思表示をすることに慣れてきたら「どう思うか」などオープンな質問を投げかけるといいでしょう。
良い点を誉めることで成長を促す
「人は褒められると成長する」と言われるくらい褒めることは大事です。結果だけでなく、行動も含めて褒めるのがいいでしょう。誰かとの比較よりも、その人の成長、変化に気付き伝えられると理想です。また褒める際は、タイミングを逃さないようにしたいですね。
褒めるのが苦手な場合は、相手に共感することから始めるのもおすすめです。発言内容に対して「そうだね」「いいね」「なるほど」といった言葉で応えるとコミュニケーションを取りやすいでしょう。
新卒向けの研修の中でもOJTの教育担当者に求められる心構えは、以下の記事で紹介しています。
■参考記事はこちら
OJTの教育担当者に求められる役割・スキル・心構えとは?効果的に行うコツまでわかりやすく解説!
新卒研修の注意点
適切な研修の実施は、新卒人材の早期戦力化だけでなく、早期離職の防止効果も期待できます。新卒研修を行う際の注意点を見ていきましょう。
注意点1:社内用語や新人が理解できない言葉を多用しない
普段何気なく使っている社内用語や専門用語は、新卒人材には理解できない言葉かもしれません。そんな言葉が研修で多数飛び交うと、ただでさえ初めての社会人生活で緊張の連続の参加者は、萎縮したり、不安が大きくなったりしてしまいます。
このため社内用語や新人が理解できない言葉は多用しないほうがいいでしょう。とはいえ、新卒人材に覚えてもらわないといけない言葉ではあるので、研修の中で用語の解説を交えたり、事前に用語をまとめたプリントを配布したりするなどの配慮があるといいですね。
注意点2:イマドキ新卒の仕事に対する思考傾向を否定しない
現在は、多様性社会といわれるように、物事の考え方や前提が教育担当者と新人では異なることも少なくありません。新人は、自分なりに将来のなりたい像、目指す像を思い描いて入社しています。
こうした個人の意思を尊重せず、組織の意向を押し付けると、新人のモチベーションは低下しかねません。
Z世代は、自分らしく働きたいと考え、出世よりワークライフバランスを重視する傾向があります。また会社に勤めることで社会貢献ができるかを重視すると言われています。こうした価値観や意思を尊重し、コミュニケーションをとり研修を行うことが大事です。
注意点3:フィードバックはダメだしだけで終わらない
研修の中でフィードバックを行う際は、新人の成長を願い、相手軸で行うことが大事です。決して、自分のイライラをぶつけたり、ダメだしをするだけで終わってはいけません。
特にネガティブなフィードバックは、新人の受け取り方によりプラスにもマイナスにも働きます。単なるアドバイスやティーチングではなく、目標やあるべき姿を共有したうえで、現状について話をすることから始めるといいでしょう。そのうえで、目標まで何が足りないのか、何を行えばいいのかを一緒に考えるプロセスを踏み、どう改善し、次へつなげるといいか、相手が考えられるように促します。
まとめ
イマドキ新卒は、デジタルに強く、多様性を柔軟に受け入れられる良さを持っている一方で、失敗をしたくないという意識が強く、他人からの評価に敏感です。こうした特徴を知ったうえで、心理的安全性が高い状態を作れると、新卒社員が主体的に研修はもちろんのこと業務に参加できるようになるでしょう。
自分で調べることが得意ですので、大人数が集まるような研修だけでなく、マニュアルを用意したり、eラーニングで学べる環境を用意したり、自学習できる環境の提供も非常に有効です。
組織としての意向を押し付けるのではなく、個人の意思を尊重し、新卒社員が持つ特徴に合う方法を模索しながら進めていくと、良い新卒向けの研修となるでしょう。