新人育成を効果的に行うには?よくある課題・解決策や心構えを解説
「今の新人は言われたことしかしない」「新人にも主体的に動いてもらうにはどう教えればよいか知りたい」と指示待ち姿勢について困惑しているリーダーは多いのではないでしょうか。
新人に主体的に動いてもらうためには、今の新入社員の特性を理解する必要があります。
今回は、新人世代の特性や新人育成の心構えを解説したうえで、効率的に新人育成を行っている事例を紹介します。
新人育成とは
新人育成とは、入社して間もない社員が主体的に仕事ができるよう成長に導く教育のことです。
企業の柱となる経営資源の1つが「人材」です。新人育成は単純な業務の習得を指すのではなく、会社の利益に貢献できる人材を育てることを目指して行われます。
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新入社員研修では何をするべき?内容やカリキュラムの作り方をわかりやすく解説(事例付)
新入社員が対象の場合
新入社員の中には、卒業から日が浅いためまだまだ学生生活の意識が切り替わっていないという人もいます。
まずは社会人として必要なビジネスマナーから業務に関する基礎知識、業務の進め方までを教え、社内関係者との調整や顧客対応まで、一通り一人で完結できるようになることを目標にします。
企業の新人育成への考え方によって、カリキュラムも多種多様です。
企業で働くにあたって、企業理念や経営方針など、自社について理解を深める研修や配属先での必要なスキル習得の研修などがあります。
アルバイトが対象の場合
小売りや飲食などの業界では人手不足が深刻で、アルバイトの採用が活発です。
アルバイトの人材育成においては、任せたい仕事を決めて研修スケジュールを組みます。マニュアルを作成してフォロー担当をつけて教育体制を整えておきましょう。教育期間中に定期的に振り返りの時間を持つと良いです。良かった点と悪かった点についてフィードバックします。
厚生労働省の報告書「平成30年版 労働経済の分析-働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-」によると、正社員に比べると非正規雇用者は、人材育成や能力開発の機会が少ないことが分かります。教育する企業の現場は忙しく人材育成に充てる時間を確保できない、予算に制約があるなどが理由で、優先順位を落としている企業が多いようです。
この報告書では、アルバイトには正社員に与えられる計画的な面談の機会や目標管理制度などの機会が限られており、動機づけとなるような育成のチャンスが少ないと指摘しています。アルバイトの人材育成についても丁寧に行うことで離職率が下がり、心強い戦力となります。
最近の新人の特徴
人材育成の対象になる新入社員ですが、今の新入社員はおよそ2000年以降に生まれています。
だれもが生まれ育った時代背景に影響を受けて成長しますが、最近の新人はどのような特徴を持っているのでしょうか。ここでは4つの特徴について見ていきます。
特徴1.自分のライフスタイルを優先する
2019年の公益財団法人日本生産性本部『平成 31 年度新入社員「働くことの意識」調査の概要』によると、「仕事中心」か「(私)生活中心」かどちらのスタンスで働くかという質問に対して、「(私)生活」が 17.0%で「仕事中心」が 6.0%を大きく上回っています。成果を求めて残業もいとわないという働きかたは好まれず、私生活を大切にしたい世代であることが分かります。
特徴2.デジタルネイティブ世代
ニッセイ基礎研究所「ジェネレーションαの時代-Z世代の次を考える」によると、世代の呼び方と対象は以下のように分けられています。
- Generation X(X 世代) = 1965 – 70 年頃の生まれ
- Generation Y(Y 世代) = 1980 – 95 年頃の生まれ
- Generation Z(Z 世代) = 1995年以降の生まれ
Y世代は物心がついた年齢で、Windows95が発売され、若いうちからパソコンに慣れ親しんでいますが、Z世代は生まれたときにはすでにデジタルが発達しています。ここからZ世代は デジタルネイティブ世代と言われています。
Z世代はITツールの活用が当たり前のことになっていて、最新のテクノロジーの扱いに慣れています。仕事においても効率的にITツールを活用したいと考えています。
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Z世代とは何歳から?特徴やこれまでの世代との違い、効果的な研修方法についてわかりやすく解説!
特徴3.承認欲求が強い
Z世代である今の新入社員の特徴として、承認欲求が強いことが挙げられます。
承認欲求が強いとは他人から認められたい、尊敬されたいという気持ちです。SNSでの投稿に対して「いいね」を求めることにも表れています。一方で自分の意見が言いにくい環境であったり、発言しても無視される、否定されると承認欲求は満たされず、行動が委縮することにつながります。
「心理的安全性のつくりかた」によると、チーム一人ひとりが率直に意見を言い、質問しても安全だと感じられる状況を「心理的安全な状況」といいます。
すなわち心理的安全な状況なチームとは「メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的で良い仕事をすることに力を注げるチーム・職場」を指します。
「心理的安全なチーム」とは具体的に、①話さやすさ②助け合い③挑戦④新奇歓迎の4つの因子が存在する状態であるといいます。質問しやすく、またトラブルが発生すればいつでも相談でき、アイディアを深めて共創でき、個性を認められていると感じる状態を指します。
新入社員は新しい環境のなかで不安やストレスを抱えています。意見を言いあい、質問しても安全だと感じられる「心理的安全な状況」で承認欲求が満たされる安心感を与えることが大切です。
特徴4.無理して挑戦しない
2022年6月に発表したリクルートコミュニケーションズの調査「新入社員意識調査 2022」において、働くうえで大切にしたいことについて3つ選択してもらったところ、「失敗を恐れずにどんどん挑戦すること」は24.8%で10年前から下降傾向にあり2022年には過去最低となりました。できないことに無理して挑戦しない、取り組んだことがうまくいかない、失敗することを恐れる傾向がみられます。
新人育成を行う目的
世代間の意識の違いもあり、新人育成を効果的にするためには工夫が必要かもしれません。新入社員を教育、育成するのはなぜでしょうか。新入社員の育成にはどのような目的があるのか、ここでは目的を4つ取り上げます。
目的1.早期戦力化を図る
新人を育成する目的は、新入社員を一日でも早く戦力として活用するためです。
環境がめまぐるしく変化するなかでスピードを求められているため、企業は効率的で効果的な人材育成を行う必要があります。人材育成を行うことで、新人はしっかりと業務の意義とやり方が身につき、早期に戦力としてチームや会社に貢献することができます。
目的2.生産性の向上
新人育成を行う目的の2つ目に挙げられるのが生産性の向上です。
厚生労働省の「平成 30 年版 労働経済の分析―働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について―」によると、企業が人材育成を行う目的を調査したところ、81.9%の企業が従業員の生産性向上を求めていることが分かりました。
企業はなんらかの活動をすることで利益を生み出します。新人をはじめ社員の生産性が上がることで、企業全体が生み出す利益が大きくなります。
さらに日本の労働力は今後少子高齢化によって労働供給が制約されるため、一人ひとりの生産性の向上が企業にとってより重要になってきます。
目的3.やる気、モチベーションの向上
平成 26 年5月の厚生労働省職業安定局の「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」には、人材育成とやる気、モチベーションの関連について述べられています。
調査において人材育成に取り組み、効果があると回答した企業と効果がないと回答した企業を比較した場合に、従業員の前向きな行動に係る各項目で人材育成の取組みが効果があったとする企業のほうが実際に社員の行動に表れている確率が高いことが分かりました。
前向きな行動に関わる項目のうち、とくに「仕事の進め方等に対し部下から上司へ意見や提案をすること」「仕事や会議の場で前向きな発言をすること」「自発的に仕事を進行すること」の項目において、差が大きく生じており、人材育成を行っている効果が前向きな行動へと繋がっているといえます。
目的4.離職率の低下
独立行政法人労働政策研究・研修機構「育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)2021年11月」によると、過去 3 年間において正社員を「採用した」と回答した企業(N=5,483)に対して、入社後 3 年経過時点で勤め続ける社員の割合は尋ねたところ、「10 割」と答えた企業は 24.4%でした。新入社員を採用した75%の企業において、入社3年の時点で離職者が発生しているのです。
また厚生労働省 「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査」を見ると、人材育成の効果を感じている職場は人材育成の効果がないと感じる企業に比べて離職率が低いことがわかります。
特に「OJTを計画的に実施し、かつその成果をチェック働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査する」という項目について、効果的であった企業は効果がないと回答した企業の離職率を大きく下回っています。
実践の場で新人教育を行うことが、育てた社員が辞めてしまうことを抑制するのに効果的だといえます。
引用:厚生労働省 「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査」
新人育成のよくある課題と解決策
企業研修講師として活躍する水野元気氏の著書「新人を1か月で即戦力に変える教科書」によると、新人育成には現代の新人の特性から生まれる課題があるといいます。ここでは新人育成の課題と解決策について5つ取り上げます。
新人5つの傾向 |
|
①自分本位 |
・相手からどう見えるかという視点が持てず、自己本位で考えてしまいがち ・成果を見られることよりも 頑張った過程を評価してほしいという気持ちが強い |
②他責思考 |
・失敗したり、何か指摘を受けたときに「環境」「他人」に責任があるという思考になる傾向が強い |
③指示待ち |
・「指示・答えをください」という姿勢で、自分で考える力が弱 い ・自分から率先して動くことができない ・言われた最低限のことしかできない |
④折れやすい |
・過剰な自信と打たれ弱さを併せ持つ ・根拠のない自信を持っているぶん自分のイメージどおりの成果を出せない 時に芯がなく心が折れやすい |
⑤元気がない |
・当たり前の 挨拶返事笑顔ができない ・苦手な人を避けてしまう |
引用:水野元気著「新人を1カ月で即戦力に変える方法」
課題1.自分本位である
水野氏はさまざまな企業研修に携わっていますが、依頼が一番多いのは新卒研修だといいます。企業は新入社員に対して「情熱」「やる気」「意欲」を持ってもらい、一日も早く即戦力となってもらいたいけれど、今の新人育成は思うようにいかず相談が止まないそうです。
課題の1つ目は「自分本位である」ことです。
- 相手からどう見えるかという視点が持てず自己本位で考えてしまいがち
- 成果を見られることよりも頑張った過程を評価してほしいという気持ちが強い
新人の特徴に仕事の相手がどう思うか、どう評価するかを推測せず、自分はどうだったかで判断する傾向があるといいます。成果を見てもらうではなく、その過程を見て欲しいという気持ちがあり、納期に間に合わなかった場合でも、「時間ぎりぎりまで頑張ったので」と未達の状況を自ら肯定する解釈をして謝ることをしないケースがあるといいます。お客様からの評価が下がり、クレームに繋がる恐れがあります。
仕事にはなにかしらの成果が求められます。しかし新人は仕事において何を重要視されるのかを認識できていない場合もあるでしょう。
書籍では、新人がやっている仕事と同じ、あるいは似ている仕事の成功例を伝えることが、解決策になるとしています。
たくさんの成功事例を共有することで、自分のすべきことが認識できるでしょう。納期に間に合わせることが当たり前だということも含めて、みんなが成果を出していることを伝えることで、自分がすべきゴールを見せること、自分にもできると感じてもらうことができるといいます。
課題2.他責思考である
課題の2つ目は「他責思考である」ことが挙げられます。
・失敗したり何か指摘を受けた時に環境を他人に責任があるという思考になる傾向が強い
このため、仕事でミスが起きたとき、失敗したときに、その原因を会社の環境が悪いから、あるいは先輩や上司が教えてくれないからだと解釈し、不遇の環境にいることに不満をためて退職に至るケースがあります。
自己責任思考とはどんな状況や環境になっても他人や環境のせいにせずに自己責任で考え行動することです。
人は思い通りにならないときに人のせいや環境のせいなど自分以外の他のものに責任を求めてしまいます 。その原因の一つは自分が怒られたり責められたりすると自分自身を守ろうとする自己防衛本能が働くからです。特に社会人になりたての新人はこの傾向が強いと言えます。
書籍では、この他責思考の課題解決法としては、もし後輩にアドバイスするならという質問をすることが有効だといいます。
具体的には、新人研修においてケーススタディとして後輩から相談を受けるシチュエーションを体験させているそうです。
「後輩から上司からコピーを取ってくれと言われたので一部コピーを渡したら全部で20部必要だと怒られた。これは上司の指示が悪いのではないか」と相談を受けた場合、どのようにアドバイスするかを考えてもらいます。
ほとんどの人が上司に対して「何のためのコピーですか」「何部必要ですか」とコピーする前に自分から確認することができるのではないかととアドバイスするといいます。
このケーススタディで新人はみずから自分でできる改善ポイントをアドバイスしています。
水野氏は、新人に自己責任で考えてもらいたい時は、もし部下が成長できるようにアドバイスするとしたらどう伝えるかと質問することで、新人は自ら答えを出してすんなりと自己責任で考えられるようになると言及しています。
課題3.指示待ちの傾向がある
3つ目の課題は「指示待ち」です。仕事に対して
- 「指示、答えをください」という姿勢で自分で考える力が弱い
- 自分から率先して動くことができない
- 言われた最低限の事しかしない
という傾向が見られます。
新人は初めての仕事に取り組むため、どのように行ったらいいのか戸惑うこともあるでしょう。
分からないことは上司や先輩に聞きながら進めていけば良いのですが、今の新人は自分から会社や上司また周りの先輩に対して質問をすると言う働きかけがありません。
その結果、分からないまま仕事を放置してしまい、納期が迫って、業務が進んでいないことが表面化する頃にはもう取り返しがつかない状況が発生してしまいます。
また、質問する前に一度自分で考えて見ることが大事です。人に判断を委ねていると自分で考え抜くという力がなかなか身につかず成長スピードが遅くなると水野氏の書籍では言及しています。
主体的に動いてもらう主体的思考になるために大切な要素としては目的を持つことです
しかし仕事の大半は死ねされたりお願いされてやることが多いものです特に新人の仕事はほぼ上司や先輩など周りからの指示によるものですそうすると人はやらされた感覚が生まれ他人音そして他人からの指示でしか動けない受動的思考になってしまいますだからこそどんな仕事にも目的を見出していくことができるようになることがとても大切です。
目的を持ってもらうためには仕事を与える時にこの仕事は何のための仕事か仕事だと思うかと問いかけていくことで新人は自分自身で仕事の目的を考える癖と習慣がついてきます
初めから新人は答えを持っていないので仕事を依頼する時に上司先輩はこの仕事の目的はと説明してあげることが効果的です。徐々に自分で目的を考えるようになります。
課題4.折れやすい
4つ目の課題は「折れやすい」です。今の新人の特徴に
- 過剰な自信と打たれ弱さを併せ持つ
- 根拠のない自信を持っているぶん自分のイメージ通りの成果が出せない時に芯がなく心が折れやすい
という、気持ちの上での耐性がないことが挙げられます。
このため、上司の叱責アドバイスを受け入れるキャパシティが少なく、達成するまえに諦めやすい傾向があると、書籍は指摘しています。
やったこともないのになぜか自分には自信がある。さらに怒られ慣れてなく 注意を受けるだけで心が折れやすいため、気持ちが続かずに休職や退職に至ってしまいます。
一般社団法人日本能率協会の2022年度新入社員意識調査において、新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象に仕事や働くことに対しどのような意識を持っているかを調べたところ、今の新入社員が望む上司・先輩は、「仕事について丁寧に指導する人(71.7%)」が1位で2012年以降の調査で過去最高でした。
この調査において、大幅にダウンしたのが「場合によっては叱ってくれる上司・先輩」です。ほめて伸ばすことが推奨される中で、怒られ慣れていないことが影響しているとしています。
一方、仕事への意欲や能力を高めるために上司や人事へ期待することは、「成長や力量に対する定期的なフィードバック」が高まっています。丁寧な指導の下、定期的に評価フィードバックを求めるという、手厚い対応を上司や先輩に求める傾向が見られます。
ミスや改善点があったときに、強い口調で怒鳴らないなど注意の仕方を工夫する、良い点をみつけて褒めることで、働く意欲をつぶさないようにする必要があります。
引用:一般社団法人日本能率協会「2022年度新入社員意識調査」
課題5.元気がない
課題の5つ目は「元気がない」です。
- 当たり前の挨拶・返事・笑顔ができない
- 苦手な人を避けてしまう
挨拶や返事、笑顔で対応することは社会人として最低限のマナーです。この当たり前の対応ができないため、職場の上司や先輩からの第一印象が悪く、職場に溶け込んでいくことが難しくなってしまいます。社外のお客様からの印象も悪くなってしまいます。
今の新人に対して、「出来が悪い」「仕事の覚えが悪い」と言った不満の声はほとんど聞こえてこないと水野氏は書籍で述べています。会社が不足と感じているのは「意欲・やる気・主体性」などの部分なのです。
アメリカの哲学者であるジョン・デューイの有名な言葉に「人間は習慣の生き物である」とあります。
正しい生活習慣を身につけることで、良い心の状態を保つことができるといいます。
水野氏は新人のモチベーションを高めていくためには正しい仕事習慣を作ることが大切だといいます。
朝の挨拶、元気な返事、きびきびと行動する、聞く姿勢、時間を守る、身だしなみを整える、整理整頓などを徹底させます。これは新人だけがするのではなく、部署や会社全体で行うようにすると、それが当たり前の姿であると新人は認識します。続けていくと習慣になり、良い気持ちの状態を保つようになります。
新人育成計画の立て方
今の新人世代にみられる特徴をふまえて、新人育成を効果的にすすめていくために、どのように育成計画を立てていけば良いでしょうか。
1.現状把握
新人育成を進めていくためには、入社して間もない社員の現状を把握する必要があります。
新人の現状がわかれば、必要なスキル習得までに必要な時間が予測でき、無理のない現実的な育成カリキュラムを立てることができます。
上司は日頃の業務や会話の中から新人の意見や疑問、不安やできなかったことを把握しておき、これらを集約して新入社員に不足している部分を明確にします。
2.目標の設定
新人育成の目指すゴールを定めて、期待する行動レベルを設定します。求められるスキルを時系列に表にまとめたものが「スキルマップ」です。スキルマップはいつまでに何ができていればいいのか、人材育成を段階的に行うためのステップを定義しているため、人材育成の全体像が分かりやすく、従業員の現状に即した育成を行いやすくなります。
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人材育成とは?課題と解決策、目標設定の考え方などについて具体例を交えてわかりやすく解説!
3.フィードバックを設定する
人材育成は設定した目標に対する成果をみて評価することが必要です。全社共通の評価基準に照らして成果を評価し、上司はその結果について新人にフィードバックを行います。
目標に対してどれほど達成しているか、習得すべきスキルは向上しているか、チーム全体に貢献しているかなどの評価ポイントにおいて確認し、評価する点と改善点を取り上げます。
フィードバックは一人ひとりに行うため、個々に適切なアドバイスを送ることができ、新人は気づきを得やすく、やる気を引き出すきっかけとなり得ます。
新人育成の心構え
今の新入社員は特徴に合わせて、育成においていくつか工夫が必要とされています。新人育成の心構えとして4つ紹介します。
個性を尊重する
引用:2019年の公益財団法人 日本生産性本部『平成 31 年度新入社員「働くことの意識」調査の概要』
調査によると、今の新入社員の「働く目的」は、「楽しい生活をしたい」が最も多いという結果になりました。(昨年度41.1%→今年度39.6%)
また「生活の価値観」については「他人にはどう思われようとも、自分らしく生きたい」という質問にYESと答えた人が84.5%で一位でした。
このような新入社員の傾向を知ったうえで、新人育成を行う心構えの一つ目は、個性を尊重することです。
指導する新入社員一人ひとりと向き合い、それぞれの特徴を把握することが大切です。 具体的には、コミュニケーションをとるなかで新入社員の話を聞くことです。新入社員が何を目標に掲げて入社してきたか、どのような働き方を求めているのか、何を大事にしているのかを話してもらいます。一人ひとりに向けてどう教えるか、どう伝えるか、個性に合わせましょう。
業務の全体像、業務の目的、気をつける点を伝える
仕事を依頼するときに重要なのが、業務の全体像や目的を伝えることです。通常、業務にはいくつかの工程があります。新入社員には取りかかりやすいものを切り取って取り組んでもらうことになりますが、全体像が見えていないとただの作業になってしまいます。全体像と目的が見えれば、与えられた業務の意義が理解できるようになります。
水野氏の書籍では全体像や目的が見えることによって、新入社員はやらされているという他人ごとの気持ちを自分ごととして捉えることができると指摘しています。
また、失敗することを恐れる世代であることを考慮して、さきに間違えそうなポイントがあれば先に伝えておきましょう。実際にトラブルが生じたときに落ち着いて対処できます。
自分がお手本となる
新人育成の心構えの3つ目のポイントは、上司、先輩である自分が新入社員のお手本となるように行動することです。新入社員がこんな人になりたいと思えるような尊敬できる上司であれば、この人の言うことは心から聞こう、学ぼうと思うものです。
水野氏の書籍によると、新人育成には自らが見本になること、体現者になること、尊敬されることがとても大切だとあります。新入社員には会社や環境のせいにするなと言っておきながら、自分は部下のせい、会社のせいにする、会社の愚痴、不平不満を口にするようでは、だれも言うことを聞いてはくれません。
新入社員は上司や先輩の言動をよく見ています。部下や後輩から見られていることを意識して自分はお手本となっているかを自問しましょう。
可能性を信じる
新人育成の4つ目のポイントは、新入社員の可能性を信じることです。
アメリカの教育心理学者のローゼンタール博士の実験で、人は期待を掛けられるとそのとおりに成績が向上し、成果を出す現象が認められています。この効果を「ピグマリオン効果」といいます。
水野氏の書籍では、誰かが自分を信じてくれていることを意識すると、期待に応えようと意識するため、成長する確率が高くなるといいます。新入社員に対して期待をかけ、可能性を信じることが新入社員のやる気を引き出すのだとしています。
新人育成をより効率的に行っている事例
今の新人は、ITツールの活用に慣れ親しんでいる世代です。SNSの発達や浸透という背景もあり、動画から情報を得ていく傾向が見られます。
新入社員世代の特徴を踏まえると、企業の人材育成や研修には、ITツールの活用が適しているといえます。紙ベースのテキストを配布して行う研修のスタイルは合わないのかもしれません。
新人育成をshouin+のツールを使って効果的に行っている事例として、3社の例を以下に紹介します。
ユナイテッドアローズ株式会社
全国にセレクトショップを展開するユナイテッドアローズではshouin+の導入によって内定者研修〜新入社員研修のフルリモート化を実現しています。
shouin+を活用したeラーニングによる動画配信でインプットさせたうえで、アウトプットにも力を注ぎました。shouin+カメラによる動画投稿を活用した習得状況の確認の場をつくってアウトプットの質と量を高めました。
結果として接客レベルの目標値の達成率は、shouin+を使っていない過去の新入社員と比較すると約2.5倍向上したといいます。
■shouin+の導入事例:ユナイテッドアローズ株式会社
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
自動保育サービスを主幹として事業展開するシダックス大新東ヒューマンサービスでは、共働き世帯が増えている環境の中で運営を受託する学童施設の増加、支援員への教育が間に合わず支援員の情報格差が生まれてしまっていました。
Shouinを導入し、支援員研修を集合研修からshouin上のコンテンツを使ったオンライン研修に切り替えたことで、最大で月間約50%もの時間を削減できました。支援員への研修機会の格差もなくなり、より質の高い保育を実施できるようになりました。
■shouin+の導入事例:シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
ココカラ本厚木店(人の森株式会社)
フィットネスクラブを運営するココカラでは、ジムトレーナーの研修に時間がかかることが課題だったといいます。ジムトレーナー育成に80時間かかっていて、育成担当者の残業時間増大につながっていたといいます。Shouinを導入したことで育成担当者の残業時間が55時間削減され、業務の生産性が向上しました。
■shouin+導入事例:ココカラ本厚木店(人の森株式会社様)
お役立ち資料
職場に新人を迎える際には、新人の考えや傾向を理解しながらも自社の目指す人材に適した育成計画が必要不可欠です。
弊社では、新人研修・OJTの際の習得度合いを確認するためのチェックシートや、人材育成計画のテンプレートを配布しています。お悩みにあわせて、ぜひ活用してください。
まとめ
人は育った環境や時代背景によって考え方や価値観が変わるものです。今の新入社員の特徴を理解して、新人に目線を合わせて指導することで効果的に育成できるようになります。
新人の育成は、企業の拡大・発展にとって不可欠なものです。新入社員が主体的に動くような育成計画を立てて、実践しましょう。デジタルを活用したツールを取り入れることも検討してみるのも良いでしょう。