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わかりやすい業務マニュアルの作り方とは?わかりやすく作るポイントや作成手順について徹底解説!

マニュアル ノウハウ ナレッジ
2022.01.11
松木 謙介

業界問わず、さまざまな企業で導入されている「業務マニュアル」。スキルも年齢も経歴も違う人々が集まる組織が、円滑に運営していくのに欠かせないツールです。

しかし、いざ作成しようと意気込んでも、作り方がわからなければ断念せざるを得ないことも。「作ってはみたがうまく活用できなかった」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、わかりやすい業務マニュアルの作り方や、おさえておくべきポイントについて解説します。

「業務マニュアルとは何か」「作成することでどのようなメリットが得られるのか」といった基本的なこともご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

業務マニュアルとは

「職業や事業などに関して、継続して行う仕事。」と辞書で表記されている、業務。そして「作業の手順などを体系的にまとめた冊子の類。」と記されている、マニュアル。

2つの単語の組み合わせた「業務マニュアル」とは、日々継続して行う仕事の手順を記したもののこと。「オペレーションマニュアル」とも呼ばれており、業務を円滑に行う上で欠かせないツールです。

業務マニュアルの定義は企業や専門家によって異なり、明確なものはありません。どのように捉え、どのように扱うのかは目的や使い方によって変わります。

例えば、マニュアル作成・活用の専門会社である「株式会社クオーレ」を設立した工藤正彦氏の著書、『業務マニュアルのつくり方』での定義は以下の通りです。

  • マニュアルとは、できない人をできる人にするもの
  • マニュアルとは、人を縛るものではなく人を活かすもの
  • マニュアルとは、組織の秩序を作り、活性化させるもの
(引用元:「工藤正彦(2021)『小さな会社の<人と組織を育てる>業務マニュアルのつくり方』日本実業出版社」)

 

また、鹿児島国際経済学部教授、経営コンサルタントである小林隆一氏は、著書の『仕事力がアップする!マニュアルのつくり方・生かし方』にて、以下のように定義しています。

マニュアルは、人のやる気と創意工夫、社会常識に基づく行動を促す基準や指針を示すドキュメント

(引用元:「小林隆一(2013)『仕事力がアップする!マニュアルのつくり方・生かし方』株式会社PHP研究所」)

当記事では、上記2冊の書籍にある定義を、業務マニュアルの位置付けとして解説していきます。

 

業務マニュアル作成の目的

年齢もスキルも経歴も違う人々が集まる企業では、どうしても業務の成果や品質に差が出てしまうもの。全員の価値観、モチベーションを全て揃えることは不可能でしょう。

業務マニュアルは、そのような社員による成果・品質の差を無くすことが目的。業務改善、そして生産性アップを図り活用されます。

また、属人化を防ぐ目的も。担当者しか特定の業務を行えない、その他の人では進め方がわからない、といった状況では業務進行が滞り、生産性が下がるからです。

「マニュアル」と類似している「手順書」は、誰が行なっても同じ結果になるように手順を記したもの。作業手順を詳細に把握することが使用目的です。対するマニュアルは、業務全体の理解と基準の把握が目的。

そのため業務マニュアルには、どのような状態であることを目標とするのか、何を基準に判断して行動すれば良いのかを記載する必要があります。そして、活用して成果が得られること、品質向上に貢献されることで、はじめて本当の意味で活用できていると判断されるでしょう。

マニュアルの概要については以下の記事でもご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

■参考記事

マニュアルとは?活用されるマニュアルの特徴と作り方をわかりやすく解説!

 

業務マニュアルと他マニュアルとの比較

当記事では業務マニュアルについて解説しますが、マニュアルには他にもいくつか種類があります。例として、以下の3つのタイプについてご紹介します。

  • 規範マニュアル(マインドマニュアル)
  • 取り扱い・使用説明書(ユーザーズマニュアル)
  • 教育訓練マニュアル(テキストマニュアル)

 

規範マニュアルとは、経営理念に基づく基本方針や、社会正義に反しないための行動規範などを記したマニュアルのこと。企業の方向性を浸透させ内部統制を図る、企業の不祥事を防止するなどを目的として設置されるものです。

取り扱い・使用説明書は、業務で使うシステムやツールの使い方を示したマニュアルのことを言います。業務を行う上で使用者が困らないよう、トラブル時の対処法や相談先などが記されています。

教育訓練マニュアルは、能力開発や教育を目的とするマニュアルのこと。マインド面に関する事柄やビジネスマナー、学習カリキュラムなど、記載する内容は多岐に渡ります。

 

一方、業務マニュアルは生産性アップ、品質向上を目的とし、業務における判断基準や概要を記載するもの。マインド面での指標となる規範マニュアル、従業員を教育するための教育訓練マニュアルとは、目的も記載内容も違います。取り扱い・使用説明書とは類似していますが、業務マニュアルは「目的と目標を持って作成し、それらを達成するための手順を記す」という点で違いがあります。

目的や記載すべき内容を誤認識していると、理想とする成果が得られない可能性もあるので、他マニュアルとの違いも把握しておきましょう。

 

 

業務マニュアルを作成するメリット

業務マニュアルの作成は、企業にとってさまざまな良い効果をもたらします。

大手小売企業である「無印良品」は、マニュアルを導入することにより大きな利益を得ました。赤字状態だった当社に改革を行い、業績の回復を成功させた松井忠三氏(以下松井氏)は、著書で以下のように述べています。

無印良品のマニュアルは、決して無味乾燥なるものではありません。むしろ、日々の仕事に行き来お取り組みながら、成果を出していくことができる、最強の”ツール”です。

(引用元:「松井忠三(2013)『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』角川書店」)

2001年に社長に就任した松井氏は、およそ38億円の赤字を出していた当社を改革するため、業務の仕組み化を行いました。独自のマニュアル「MUJIGURAM」や業務基準書などのマニュアルを整備したところ、翌年度には売上げが増幅。数年後には過去最高益を達成するなど、当社の業績アップへと導いたのです。

このように、業務マニュアルは会社に利益をもたらしてくれるもの。具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 生産性アップ
  • 従業員の定着率アップ
  • 属人化の防止

詳しく見ていきましょう。

 

メリット1:生産性アップ

<事例>

コンサルタントの指導により「職務評価制度」、「能力開発体系」、「接客マニュアル」、「調理マニュアル」、「クレーム処理マニュアル」を導入したことにより、業務の効率が向上した。それまですべてのスタッフが非正規社員であったが、1名を正規社員とし、アルバイト4名のうち、定着を図るため、2名の労働時間を増加させ、雇用保険の被保険者とした。

(引用元:厚生労働省(2019)「生産性向上の事例集」)

業務マニュアルには、その業務を行う上で最も良い方法が記載されています。従業員はマニュアルを確認することで、能力や経験に関係なく、効率的で生産性の高い業務を行えるのです。

例えば、新入社員は歴の長い従業員と違い、正しい業務の取り組み方や効率の良いやり方を知らない場合がほとんど。すると、社員によって仕事の成果や品質に差がある状態で、業務を行うことになります。

そこで業務マニュアルを活用することにより、最適な方法で取り組める従業員が増やすことができます。結果的に、組織全体の生産性を底上げできるのです。つまり業務マニュアルは、会社の利益向上や存続に関わる重要なツールである、と言えるでしょう。

■参考記事

生産性を妨げるコミュニケーションロスとは?原因と対策を徹底解説!

 

メリット2:定着率アップ

<事例>

新人スタッフの育成が容易になり、顧客のクレームは無くなり、作業時間が20%短縮、人材定着

(引用元:厚生労働省(2019)「生産性向上の事例集」)

業務のやり方をきちんと教わることのできなかった従業員は、仕事に対するモチベーションが下がってしまうものです。それを理由に離職を考える人もいるでしょう。

従業員の離職防止には教育が肝心。しかし、人員不足で時間がないなどの理由で、十分に教育できないこともあります。また、教育者の考え方や能力によって、教育に不備がある場合も考えられるでしょう。

そこで業務マニュアルを活用することにより、従業員は正しい業務の取り組み方を把握できます。口頭では伝えきれないことまで知ることができ、さらに伝え漏れの発生も防止できるのです。

正しく、かつ効率よく業務をこなすことができれば、成果が出て、従業員のモチベーションが上がります。定着率アップを図る場合、労働環境の見直しや改善を行うことが多いですが、業務マニュアルを整備することも、効果的な方法のひとつであると言えるでしょう。離職に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

 

■参考記事

【2021年最新版】新卒の離職率は?業界別の離職理由とその対策について事例を交えてわかりやすく解説!

小売業の離職率は?業界別比較や高い理由、防止対策の事例までわかりやすく解説!

離職率の算出方法は?厚生労働省の定義や離職率の低下に向けた具体策をわかりやすく解説!

 

 

メリット3:属人化の防止

<事例>

これほど膨大なマニュアルをつくったのは、「個人の経験や勘に頼っていた業務を”仕組み化”し、ノウハウとして蓄積させる」ためです。

(引用元:「松井忠三(2013)『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』角川書店」

企業における全ての業務を従業員1人が担うのは不可能なため、業務を分担する場合がほとんど。そこで問題となるのが属人化です。

担当者のみが業務を行うことができ、他の従業員ができない状態では、担当者不在時に業務を進行できなくなります。もし進めることができたとしても、同じ成果が出せないようであれば、利益に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

業務マニュアルには、そのような属人化の防止にも効果的。業務の取り組み方はもちろん、ノウハウも共有することで、誰が行っても同じように成果を出すことが可能になるのです。担当者が退職したときも、一から人を育て上げたり、優秀な人材を採用したりする必要もありません。

また、経験や知識が豊富な従業員は、無意識のうちにノウハウを独占してしまっていることも。業務マニュアルを作成することで、無意識に行っていた業務ノウハウを改めて認識することができます。そして他の従業員へと共有でき、結果として組織全体のスキルアップ、および生産性アップに繋がるでしょう。属人化に関する詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

■参考記事

属人化とは?デメリット、原因、対策方法をわかりやすく解説!

 

業務マニュアルを作成する事によるデメリット

業務マニュアルの作成で得られるメリットは大きいですが、全てが良いことばかりではありません。リスクと対策についても確認しておきましょう。

 

デメリット1:作成にコストがかかる

業務マニュアルの作成は、やはり時間と労力が必要。大規模かつ内容が濃いものであれば原稿の執筆に手間がかかりますし、構成やチェックにも時間がかかります。

特に、完璧な業務マニュアルを作ろうとすると、膨大な時間がかかってしまうもの。マニュアルは完成後も改訂を行い、随時更新していくので、完璧を求めすぎないようにすることが大切です。

とはいえ、成果が出なければ全て無駄になってしまいます。コストを最小限に抑えつつも、効果的な業務マニュアルを作成する必要があるでしょう。

そこで重要なのが計画性です。どのくらいの時間、費用、労力をかけ、どの程度までの完成度を目指すのかを明確にしてから作成することが重要になります。

 

デメリット2:業務マニュアル以上のことをやらなくなる

業務マニュアルは作ることがゴールではなく、活用してこそ意味があるもの。マニュアルを理解し、その通りに業務を行ってもらうことが必須です。

しかし、マニュアルの通りに動くことを重視しすぎてしまうと、それ以上のこと行わなくなるリスクがあります。「マニュアル通りにさえ動けば良い」と満足してしまい、自発性や自由な発想が阻害されてしまうのです。

特に接客業では、お客さまの気持ちを汲み取り、最適な応対をすることが大切。業務マニュアルに書かれていることが全て正解とは限りません。ですが、マニュアルをゴールにしてしまうと、臨機応変に対応できなくなる恐れがあります。

業務マニュアルはあくまで指標であり、業務改善をサポートするツール。基本的には記載内容に沿って行動するよう従業員を教育しますが、自発的に動くことも大切である、と伝える必要があるでしょう。

 

デメリット3:業務マニュアル作成がゴールになる

業務マニュアル作成時は、完成させることを目的としてしまいがち。完成したら満足してしまい、活用せずに放置してしまうのです。

業務マニュアルは、実際に業務に活かし成果に繋げてこそのもの。そして、最適な方法が記載されているか、より良い取り組み方はないかチェックし、適宜改訂を行うことで作成する価値が生まれます。

 

わかりやすい業務マニュアルにするポイント

わかりやすい業務マニュアルを作成するには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。さまざまな事柄が挙げられますが、ここでは特に重要な5つのポイントをご紹介します。

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ポイント1. 5W1Hを意識する

業務マニュアルを作成する際は、5W1Hを意識することが基本。そうすることで、読み手が理解しやすく、かつ実行に移しやすいマニュアルへと仕上がります。

5W1Hとは、以下のことを指します。

  • 誰が(Who):誰に向けた業務マニュアルなのか
  • いつ(When):いつ行う業務なのか
  • どこ(Where):どこまでできるようにすることを目指すのか
  • 何を(What):何について記載するのか
  • なぜ(Why):なぜ業務マニュアルを作成するのか
  • どうなる(How):どのように作成するのか

 

誰に向けた業務マニュアルなのか、いつ行う業務のことなのか、そしてなぜ作成するのかをはじめに決めます。対象と目的が明確になれば、何について記載するのか、どのような内容にするのかが必然と見えてくるでしょう。

内容が決まったら、どこまでできるようにするかという目標を決めます。目標を定めないと、マニュアル活用時に十分な成果が得られない、ハイレベルすぎてマニュアル作成に膨大な時間がかかる、といった問題が発生する恐れがあります。

そして、どのように作成するのかを決めることも大切。「チームで作成するのか」「誰が中心となって作成するのか」「どのようなツールを使って作るのか」などを決定することで、計画的かつスムーズに進行できるようになります。

 

ポイント2. デザインや体裁を整える

業務マニュアルの作成に「パワーポイント」と呼ばれるパソコンのソフトが使われることが多いですが、その際デザインや体裁を整えることが重要。具体的に意識すると良いポイントは、以下の3つです。

  • フォント
  • 色使い
  • アイコン素材

 

複数のフォントを使うと読み手を混乱させてしまうため、初めから終わりまで同じフォントを使うようにしましょう。なかでもおすすめなのは「ゴシック体」と呼ばれるフォントです。「明朝体」を使う手もありますが、文章を強調させたいときに使う”太字”が、ゴシック体の方がわかりやすいので、企業での指定がない場合はこちらを使いましょう。

全てをモノトーンで記載してしまうと、メリハリがなく、読みづらくなってしまいます。しかし、カラーの使いすぎには注意が必要です。どこが重要なのかがわかりにくくなってしまうため、3色ほどにカラーを絞りましょう。特に注目させたい部分には「赤」などの目立つ色を、見出しや強調させたい部分には「青」などのやや落ち着いた色を、その他文章はベーシックな「黒」を選ぶとわかりやすくまとまります。

また、アイコン素材を使う場合はデザインを統一させることが大切。アイコンのデザインにばらつきがあると、読み手に違和感を与えてしまいます。同じサイトからダウンロードするなど、統一感を意識しましょう。

デザインや体裁が整っていない業務マニュアルは、理解しにくく、活用が難しくなってしまいます。読むのに貴重な時間を奪われることになるため、見やすさも重視して作成することが重要です。

パワーポイントでわかりやすいマニュアルを作成するコツは、以下の記事にも記載されているのでぜひこちらもご覧ください。

■参考記事

【パワポで作成】わかりやすいマニュアルの作り方(無料テンプレート付き)

 

ポイント3.具体的に記載する

誰が見てもわかりやすい業務マニュアルを作成するためには、できるだけ具体的に内容を記載するのがコツ。例えば、「お客さまについての情報を記入する」ではなく「客層、お客さまのニーズ、来店動機を記入する」と表現することで、誰でも”何をどのようにすれば良いか”理解できます。

業務マニュアルの内容を曖昧に記載してしまうと、読む人の価値観、捉え方によってズレが生じます。業務の取り組み方を統一するためにマニュアルを作成しても、理解の仕方が違っては意味がありません。

経歴やスキル、価値観によって理解に差が出ないよう、そして同じように業務を行えるようにするため、具体的に記載することを意識しましょう。

 

ポイント4.優先順位をつける

業務マニュアルの作成では、あれもこれも伝えるべきと内容を盛り込みたくなるもの。しかし、未経験者が業務の全てを覚え、行動に移すことは不可能です。

そのため、業務の優先順位をつけて記載することが大切。無駄な部分を省いたり、表現方法を工夫したりし、「最低限ここは覚えて欲しい」という内容が目立つよう意識しましょう。

また、業務項目の順番によっても、優先順位をつけることができます。重要なことを初めに記載し、終わりにかけて優先度の低い内容を記載するとわかりやすくなります。

 

ポイント5.適切なサイズ・形状

業務マニュアルは、内容だけでなくサイズによってもわかりやすさが変わります。例えば、図や写真を用いて業務を説明する場合、小さいサイズで作成してしまうと、細部が確認できず不便です。反対に、業務中に何度も閲覧する用途であれば、持ち運びしやすいコンパクトなマニュアルの方が活用しやすいでしょう。

また、業務マニュアルの形状にも注目です。小冊子型やバインダー型などが例として挙げられますが、なかでもおすすめなのはバインダー型。後に改訂する際、差し替えが簡単にできるので、特に指定がない場合はそちら選びましょう。

参考書籍:「工藤正彦(2021)『小さな会社の<人と組織を育てる>業務マニュアルのつくり方』日本実業出版社」

 

業務マニュアルの作成手順

それでは、業務マニュアルの作成手順について、「小林隆一(2013)『仕事力がアップする!マニュアルのつくり方・生かし方』株式会社PHP研究所」を参考にご紹介していきます。場合によっては順番が前後する可能性もありますが、特に決まりがないときはぜひこちらを参考にしてください。

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1:企画

まず初めに、業務マニュアルの企画を行います。5W1Hを意識しつつ、どのような目的でどのような内容を記載するのか、どのように作成するのか、いつまでに仕上げるのかなどの計画を立てます。

企画書をここで作成しておくと、共有や確認がスムーズになって便利。後に詳しく解説します。

 

 

2:調査・分析

次に行うのが業務の洗い出しです。手順や注意点、取り組み方などの記載漏れがないよう、全ての業務を書き出します。

そして、現状の取り組み方が最適かどうか、分析を行います。マニュアル制作のチームメンバーや、実際に業務に携わっている人から情報収拾し、最も良い方法を導き出しましょう。

業務の洗い出し、および分析に役立つのは「業務作業分類書」です。こちらものちに詳しく解説します。

 

3:設計

次に、内容の設計を行います。どの構成で記載するかを決め、見出しや目次を作成します。企画段階で決めていたフォーマットやマニュアルのサイズ、ツールが適していない場合は、ここで調整しましょう。

ここでは構成設計書を作成するのがおすすめ。上司の承認が必要な場合や、複数人で作成を行う場合でも、見える化されていることでスムーズに共有できるため、ぜひ設計書を用意しておきましょう。

 

4:作成

いよいよ作成に取り掛かります。構成設計書を元に、タイトルや文章を記載、必要に応じて図や画像を挿入しましょう。フォントやアイコン素材を統一すること、色を多用しないことがポイントです。

動画マニュアルを作成する場合は、この段階で撮影、および編集を行います。

作成後すぐに活用するのではなく、チェックを行うことが非常に大切。記載内容に間違いがないか念入りに確認しましょう。また、第三者に業務マニュアルを見てもらうことで、より良い表現方法が見つかることもあるため、出来るだけ多くの人に見てもらい意見をもらいましょう。

 

5:活用・改善

作成およびチェックが済んだら、ついに組織への導入を開始します。ただし、すぐに業務マニュアルを全従業員が理解し、実行に移せるわけではありません。マニュアルを活用するために研修や読み合わせを行い、活用への準備を整えることが大切です。

また、最善を尽くして作った業務マニュアルでも、必ずしも良い結果が得られるとは限りません。内容が適切かどうか常に確認し、適宜改訂を行いましょう。

 

わかりやすい業務マニュアルを作成するための5ステップ

業務マニュアルは、ご紹介したような流れで作成することができます。しかし、よりわかりやすい業務マニュアルを作りたい場合は、以下のようなステップを踏むと良いでしょう。

  1. マニュアルの捉え方を教育
  2. 作成チームを組む
  3. 企画書を作成する
  4. 業務作業分類書を作成する
  5. 現場の人・第三者に意見を求める

詳しく見ていきましょう。

 

ステップ1:マニュアルの定義を明確にする

最初に述べたとおり、マニュアルには明確な定義がありません。人や組織によって捉え方が違います。

定義が曖昧なままマニュアルを作成してしまうと、目的や基準が不明確となります。また、マニュアル通りにこなすことをゴールとするなど、従業員が間違った使い方をする恐れも。どのような位置付けで、どのように活用するのかを事前に理解し、示しておくことが大切です。

 

ステップ2:作成チームを組む

業務マニュアルを1人で作成すると、主観的で偏った内容になってしまいます。そもそも大規模なマニュアルであれば、作業負担が大きいので、専門のチームを作ると良いでしょう。そして、

誰をリーダーとするのかを決めます。

ただしチームメンバーが多すぎると、意見が分かれたり、情報共有や報告ミスが生じたりする恐れがあるため、注意が必要です。

 

ステップ3:企画書を作成する

企画を行う際は、チームメンバー全員が理解していること、認識が共通していることが大切。そこで活躍するのが、目で確認でき記録として残る、企画書の作成です。

企画書を作成する際は5W1Hを意識します。目的や内容に加え、いつまでに完成させるのかも記入しましょう。そして、企画書を元にチームで会議を行うことで、メンバーの理解度を高めることができます。

 

ステップ4:業務作業分類書を作成する

業務作業分類書とは、その名の通り業務を分類し、整理するためのもの。業務作業分類書を用いて業務の洗い出しを行うことで、内容が整理され、スムーズに構成を組めるようになるのです。

業務を大・中・小項目で分類し、時系列や優先度に合わせて並び替えて記入します。業務の概要や心構えなども共に記載しておくと、作成時に随時確認でき便利です。

企画書と同様、見える化することで共有しやすくもなるため、手間ではありますが作成するのがおすすめです。

 

ステップ5:現場の人・第三者に意見を求める

業務をくまなく洗い出すため、優先順位や時系列が正しいか確かめるには、現場の人に聞くのが一番。業務作業分類書を確認してもらい、漏れがないか、改善すべき点はないか意見を聞くと良いでしょう。

現場の人がマニュアルを作成する場合も、上司や他の部署にチェックしてもらうのがおすすめ。自分たちでは考えつかなかったようなアイディアをもらえる可能性があるからです。

また作成後、マニュアルを導入する前にも第三者にチェックしてもらいます。わかりやすく、かつ間違いのない業務マニュアルを作るための大切な行程なので、徹底しましょう。

参考書籍:「工藤正彦(2021)『小さな会社の<人と組織を育てる>業務マニュアルのつくり方』日本実業出版社」

 

業務マニュアル作成に役立つツール

最近では、業務マニュアルの作成に役立つツールが多数存在します。なかでもおすすめのツールを3つご紹介しますので、迷っている方はぜひ参考にしてください。

 

パワーポイント

業務マニュアルの作成に多く使われているのが、マイクロソフト開発の「パワーポイント」。ビジネスにおけるプレゼンテーションなどでも使われる機会が多い、人気のソフトウェアです。

パワーポイントで作成するメリットは、デザインの自由度が高いこと。カラーや図、画像などを自由に配置でき、視覚的にわかりやすい業務マニュアルを作成できます。

また、パワーポイントにはテンプレートもいくつか用意されているため、デザインに自信がない人も安心です。

下記の記事では、パワーポイントでのマニュアル作成方法や、デザインのテンプレート化について解説していますので、詳しく知りたい方はぜひこちらもご覧ください。

■参考記事

【パワポで作成】わかりやすいマニュアルの作り方(無料テンプレート付き)

 

エクセル

「エクセル」も、パワーポイント同様マイクロソフトのソフトウェア。表計算やグラフ作成などに適しているツールです。日常の業務で活用されていることが多いため、ツールの使い方を新たに覚える必要がなく、スムーズに作成に取り掛かることができます。

しかし、作業画面と印刷した時の仕上がりに、ズレが生じてしまうのが難点。パワーポイントと比べてデザインの自由度も低いため、業務マニュアルの下書きとして使う、即席で作成する場合に使うなど、シーンを選んで使いましょう。

 

動画マニュアル

最近では、紙で印刷するタイプの他、動画マニュアルを導入する企業も増えてきています。その背景には、オンライン研修の増加にあります。

パーソル総合研究所が行った調査によると、2020年度から2021年度の1年で、オンライン研修を増やした企業は全体の75.0%を占めていたとのこと。「場所や人数を選ばずに学べる」というメリットがあるため、研修やマニュアルのオンライン化を進めている企業が増えている、と考えられます。

離れた所に支部、店舗を抱えている企業も、動画マニュアルであれば、動画を送信だけですぐに共有できます。また、教わる側の人のタイミングで閲覧できるため、忙しい現場でも確認してもらえます。

また、紙面では説明しにくいことも、動画ならわかりやすく伝えられるというメリットも。表情や立ち振る舞いに関する業務マニュアルを作成したい、接客業、介護職などは動画タイプを活用してみましょう。

動画マニュアルについてより詳しく知りたい方は、メリットや作り方のコツについて解説している下記記事をぜひご覧ください。

■参考記事

動画マニュアルとは?メリット効果、作り方のコツについてわかりやすく解説!

 

作成した業務マニュアルが活用されるために必要なこと

業務マニュアルをきちんと活用されるためには、一体どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。ここからは、業務マニュアルの活用に必要なことを3つご紹介していきます。

1.業務マニュアル研修を行う

どんなにわかりやすい業務マニュアルでも、業務を行う人が、内容を全てを理解できるわけではありません。使い方がわからず、ほとんど活用されていないといった最悪の事態も考えられます。

せっかく作成したマニュアルを無駄にしないため、実施前に研修や読み合わせを行うことが大切。定義や目的、重要性、使い方などを共有し、導入後に最大限活用できるよう準備を行いましょう。

 

2.活用のための環境を整える

研修で理解度が高まったとはいえ、従業員はマニュアル通りに行動できないことも。頭でわかっていても行動に移せるとは限らないので、指導や相談受付を行えるよう、体制を整えることが大切です。

なかには、「業務マニュアルに書かれていることよりも、従来のやり方の方が良い」と従業員が独自で判断し、マニュアルにない行動をとるパターンも。そのような場合は、評価システムを導入するなど、強制力のある対策が必要になります。

また、チェックリストを作成しておくと、どの箇所ができていて、どの箇所ができていないか確認できます。できていることが目で見て確認できると、従業員のモチベーションアップに繋がるでしょう。

 

3.必要に応じて改訂する

業務マニュアルを活用しているにも関わらず、成果が出ない場合は、改訂を行う必要があります。不備がないか確認し、原因追求することで最適化できます。

また、経済状況や組織が置かれている環境よって、最適な業務マニュアルも変わっていくため、定期的にチェックすることが大切です。確認作業を怠ってしまうようであれば「2カ月に1回、月初めに行う」というように、日時を決めておくと良いでしょう。

 

 

まとめ

会社を存続させるため、業績を上げるためには、効率的で質の高い業務を行うことが必要不可欠。しかし、従業員1人1人に丁寧に指導し育て上げるのは、非常に難しいことです。

業務マニュアルは、多くの社員の行動を変え、会社が目指す目標へと導いてくれる便利なツールです。新たに優秀な人材を採用するよりもリスクが低く、効率も良いでしょう。

ポイントさえおさえておけば、文章力に自信がない人でも、わかりやすい業務マニュアルの作成が可能です。ぜひ本記事を参考にしつつ、小規模なものから作り始めてみてはいかがでしょうか。

著者
松木 謙介
2017年にピーシーフェーズ株式会社に新卒で入社。大手飲食チェーン店のマニュアルデジタル化プロジェクトに携わり、2年目から人材育成クラウドサービス「shouin」の立ち上げ、現在までプロダクト開発に携わる。「研修をもっとラクラクに」できるよう、試行錯誤を続ける日々。趣味はサッカー観戦、ゲーム、読書、他多数。

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